英語とタガログ語

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しかしこのように外国人にとって居心地の良いフィリピンは、紛れもなく現代のグローバル社会である一方、フィリピンの市民には問題も生じています。フィリピンの識字率は94%を誇りますが、実際にはアルファベットで書かれているタガログ語に関してであって英語で書かれた契約書を読める者は恐らく6割程度でしょう。フィリピンでは元々、文字を持たず、1930年代になり公用語として現在のアルファベットを導入しました。タガログ語はマレー語、サンスクリット語にスペイン語と英語の単語が入り交じり、また文法はもっとも複雑な言語のひとつで台湾の先住民の言語との類似を指摘されています。もちろんタガログ語はマニラ近辺の民族が使っていたのでほとんどの住民が日常的に話していますが、セブまで来るとビザヤ語が日常に使われるなどさまざまな地域の言語が今日も使われています。ともかく彼らは英語を日常的に話しておりません。ところが一度マニラのデパートの児童を対象にしたアトラクションを見ていたら、その説明を全て英語で行っている光景を目にしました。お金持ちの集まる上品な場では英語を使用することがステータスになるようです。またテレビではタガログ語に意図的に英語を織り交ぜる「タグリッシュ」を聞くことができます。さらに一般の市民の出生証明書までを英語にしてしまっているのは明らかにグローバル化が行き過ぎています。
現実に多くの家族が子供が生まれた際にこの証明書を役所に提出できないという事態が起きています。よくフィリピンでは書類の偽造問題が取り上げられますが、市民は英語が分からなければ書類が作れないために、これも責任はフィリピン政府にあり、現実に出生証明書がない子供がいる以上、その者がしかるべき年齢になった時点でパスポートなどはどのようにでも作れてしまうのです。

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