タイの階級社会

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タイは階級社会であると良く言われているが、私たちがタイでそれを実感する機会はまずありません。タイには国王がいて当然その親族には階級が与えられているのですが、これは日本の天皇家の序列と変わりません。またタイにはアメリカの占領下の日本で1947年に刑法から削除された不敬罪が今でも存在していて、実際にタイ王室歌が流れたときに起立しなかったタイの大学生が禁固刑を受けたこともあります。しかし、私たちが一般にタイを階級社会と名指しするのはこうした事案ではなく、例えば軍人や警察官が退役しても終生その階級を名前につけるといったタイの慣習によるものです。また、この他には貧富の大きな格差が生涯縮まらない社会を指して呼んでいるようですが、この場合には、格差社会もしくは階層社会と呼ぶべきでしょう。学歴に関して、高卒だと初任給が5,000バーツ(15,000円)、大学卒で12,000バーツ(36,000円)、修士だと25,000バーツ(75,000円)と明確に格差が生じます。問題は大卒だと勤続数年で月収が数倍になるのに対して、高卒者の月収はほとんど変わらないことです。こうした背景で近年はタイの大学進学率が35%を超えたというデータもあるようです。その一方で従来の富裕層は日本を含めた欧米の大学へ留学しています。こうした留学した者たちが社会の上層部を占めますから今のタイは実力社会であると言う日本人もいますが、タイのタクシン首相の汚職は縁故関係者を中心に行われていましたから、やはり、あらゆる場面で縁故がものを言うアジアの一般的な社会だと考える方が妥当でしょう。そうした中でマスターカード・インターナショナルが「女性の社会進出度調査」を行い、タイはアジア地域においてオーストラリアに次いで二位となっていて、男女間の社会的な差別はほとんど認められない社会です。ちなみに日本はインド、韓国に次いでワースト3に入っています。

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